
●片面2層DVD-R(VD-R215PA)の特長を教えてください
まず、「商品」の特長としては、1枚のDVDディスクの片面のみで、従来の約1.8倍に相当する8.5GBの大容量化を実現しました。これによって、長時間記録ができることが最大のメリットです。これまで、映画やスポーツを1枚のディスクに収めようとすると、画質を落とす必要がありましたし、逆に高画質・高音質のまま保存したい場合は、ディスク数枚に記録しないと無理ですよね。片面2層では、こういった"1枚に収める”ことと"高画質”のニーズを両立させてお使い頂く事が出来ます。
一方、「商品開発」ということでは、非常に技術的な話になりますが、この片面2層DVD-Rディスクの製法が他社と全く違っています。私たちは、他社の多くで採用している「2P法(積層法)」ではなく、DVD-Rの2層では初めてとなる「インバーススタック(対向貼り合わせ)方式」による商品化を実現しました。この製法ですと、ロスが少なく生産安定性に優れているという点で、他社の方式と比べて優位性があります。この方式で規格承認を得て生産しているのは当社のみですので、このような"モノ作り”における差別化も大きな特長ということができます。
● 片面2層DVD-R(VD-R215PA)への思いを聞かせてください
まず、片面2層の商品化を「インバーススタック方式」で取組むことそのものが、とても挑戦的なものでした。当初、可能性は全く未知数で、ディスク開発は難しいとされていましたが、一方で生産の安定性が高いことはわかっていました。それはつまり、お客様にとって確実に有益なことであると私たちは信じて商品化を進めました。私個人としては、実験機で作成したディスクが、市販のDVDレコーダで初めて記録して再生ができたときに非常に感動しました。それまでずっと色素や金属といった材料を相手に作業していたので、ディスクとして現実の形になったということが、自分でも不思議な気がしたものです。
私だけではなく、全員が初めての挑戦を繰り返しながら実現させた商品ですので、ぜひお客様に使って喜んでいただきたいと思います。
● 商品化にあたり、苦労した点とそれをどのように克服したか教えてください
開発は2004年から始まりましたが、当時は朝から晩まで、実験機を使って手作りでディスクを作製しては、評価・解析を繰り返すといった、本当に挑戦と失敗の連続でした。というのも、開発にあたって新しい材料を扱うと同時に、片面2層であること、そして「インバーススタック方式」という方式を採用することなどが、まさに未知の領域だったからです。このような開発段階に限っても、当社独自のいろいろなブレークスルーがありましたし、さらにディスクの型を作る原盤製作や量産化に向けた生産方法といった全ての工程でも、さまざまな試行錯誤を重ねて、生産化を実現しました。そういう意味では、"初めてのものへ挑戦する”気持ちが、苦労を克服するもとであったのかもしれませんね。● お客様へのメッセージをお願いします。
片面2層DVD-Rは、通常の片面1層のものと比べれば、まだまだお客様のご利用が少ないのが現状です。これには、お客様にまだまだ認知されていないこと、あるいは対応するハードの環境が整っていないことなどさまざまな要因が考えられます。とはいえ、DVDの需要そのものはデジタル放送の普及や映像機器の進歩に伴って、いろいろなシーンや用途での利用が増えていくのは間違いありません。片面2層DVD-Rも、そういったニーズに応えていく商品です。私たちは、今後も片面2層DVD-Rの品質や生産性を上げる努力を続けていきますので、この商品が少しでも多くのお客様に、普段お使いになるメディアとして気軽にご愛用いただきたいと願っています。
(2007年4月取材)


