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2005年2月19日 報道発表

第27回Tokyo Video Festival 「TVF2005」大賞2作品が決定

「ビデオ大賞」は、大木千恵子さん(24歳・茨城県)の
『つぶつぶのひび』


「日本 VICTOR 大賞」は、Brent and Craig Renaud(米国)の
『Off To War:Chapter Two(いざ、戦争へ第2章)』





 日本 VICTOR (株)主催・第27回Tokyo Video Festival 「TVF2005」には、世界39の国や地域から2,605作品(国内1,001作品、海外1,604作品)の応募があり、「優秀作品賞」30作品、「佳作」70作品が選ばれ、最終審査の結果、「優秀作品賞」の中から「ビデオ大賞」「日本 VICTOR 大賞」」(各1作品)を選出しました。また、入賞100作品の中から「ハイビジョンムービー賞」(1作品)、「優秀作品賞」の中からインターネットによる一般投票で選ぶ「ピープル賞」(3作品)も決定しました。

 「ビデオ大賞」は、茨城県の大木千恵子さん(アルバイト・24歳)の作品『つぶつぶのひび』が受賞しました。納豆工場でのアルバイト生活に"退屈な日常”を感じている作者が、友達との再会や小型飛行機に乗って空から自分の生活圏を見ることによって、自らの存在を確かめようとする…。審査委員各氏から「24才の女性が"自画像”を、あるいは"心境小説”を、映像で描いてみせた傑作」(高畑勳氏)、「僕の一番好きな作品。構図、構成の技術が素晴らしい!」(羽仁進氏)などと絶賛されました。

 「日本 VICTOR 大賞」は、アメリカのビデオジャーナリスト、Brent and Craig Renaud の『Off To War:Chapter Two(いざ、戦争へ第2章)』が選ばれました。アーカンソー州からイラク戦争に派遣された57人の州兵が体験する戦闘の恐怖、故郷への電話で涙する若い州兵、非日常の世界が日常になった戦争の日々。「Video cameraで撮られた戦場からのビデオレターが伝えるのは、もう一つの戦争被害者の姿だ。この痛みが市民の"楯”となってほしい」(佐藤博昭氏)など、多くの審査委員から高く評価されました。

 「ハイビジョンムービー賞」は、中村征夫さん(写真家・59歳・東京都)の作品『海…無限』が受賞。また、一般ビデオファンのインターネット投票による「ピープル賞」には、『 (謝亭と彼女の歌)』(呉平海さん・32歳・台湾)、『京都市電物語 チンチン電車北野線』(守田一博さん・45歳・京都府)、『よいこのための学校紹介』(京都市立下鴨中学校パソコン部・京都府)の3作品が選ばれました。

■Tokyo Video Festival について
ビデオによる映像の記録やメッセージの伝達、自由な映像表現の可能性を広げるビデオ映像作品創作の普及、振興を目指し、1978年から毎年1回開催している世界最大の市民ビデオ映像祭です。
応募作品は20分以内のビデオ作品であれば、テーマ、題材は自由。また、プロ、アマ、個人、グループ、国籍、年齢等を問わず、誰もが応募できます。

■第27回Tokyo Video Festival 「TVF2005」各賞の内容
・「ビデオ大賞」 (1作品): 賞金50万円(「優秀作品賞」の奨励金を含む)、賞状、記念トロフィーと、副賞 VICTOR デジタルハイビジョンVideo camera「GR-HD1」
・「日本 VICTOR 大賞」 (1作品): 賞金40万円(「優秀作品賞」の奨励金を含む)、賞状、記念トロフィーと、副賞 VICTOR デジタルハイビジョンVideo camera「GR-HD1」
・「優秀作品賞」 (30作品): ビデオ制作奨励金として10万円、賞状、楯
・「ハイビジョンムービー賞」 (1作品):
・「ピープル賞」 (3作品):
・「佳 作」 (70作品): 賞状、楯

■審査委員(敬称略)
大林宣彦(映画作家)、小林はくどう(ビデオ作家・成安造形大学教授)、佐藤博昭(ビデオ作家・日本工学院専門学校教員)、椎名誠(作家)、高畑勳(アニメーション映画監督)、羽仁進(映画監督)、北見雅則(日本 VICTOR (株)カムコーダーカテゴリー長)

日本 VICTOR (株)Home ページTVF サイト http://www.victor.co.jp/tvf/

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第27回Tokyo Video Festival 「TVF2005」入賞作品の傾向と話題
(作者名、敬称略)
1.自分の内面を見つめる表現が生んだ秀作、『つぶつぶのひび』
 「ビデオ大賞」に輝いた『つぶつぶのひび』(大木千恵子・24歳・茨城県)は、地元の納豆工場でアルバイトをしている作者が、退屈な日常からの脱出を試みる作品です。ここでは、ビデオ作品をつくることが自分を見つめ直す契機となり、あるいは逆に、自分を見つめ直すためにビデオ作品をつくるといった、ビデオを介した、揺れ動く心の葛藤までもが見事に表現されています。審査会では各審査委員が一様に高く評価し、ほぼ満場一致で「ビデオ大賞」に選出されました。
 「内面を見つめる表現が、『つぶつぶのひび』という秀作を生んだ。いままでの文学とも映画とも TV Set とも違うものだ。ビデオは独自の"観客”を作り出し、いままでの読者や観客と決定的に違うのは、この"観客”が"作者”でもあることだ」(羽仁進氏)。「フィクションでもドキュメントでもない。いや、そのどちらでもあるのだろう。24歳の女性が"自画像”を、あるいは"心境小説”を、映像で描いてみせた傑作だ。"足が地についているかどうか”確かめるように挿入した長靴の"見た目”俯瞰ショットが、飛行機に乗ってみることに見事に呼応している」(高畑勳氏)。

2.ビデオジャーナリズムの確立
  TV Set が「マス」のメディアとするならば、ビデオは「個」のメディアと言うことができます。その「個」の立場から様々なテーマを見つめ、表現し、公開することで社会に関わっていくこと、そこにビデオジャーナリズムの存在理由があります。「日本 VICTOR 大賞」を受賞した『Off To War:Chapter Two(いざ、戦争へ第2章)』(Brent and Craig Renaud・米国)は、思いがけなくもイラク戦争に派遣されてしまった州兵たちの戸惑いと恐怖を描いた作品です。この作品は、自らの視点から社会の動きを捉えたもので、審査委員の大林宣彦氏は選評の中で、「この作品は、派遣された若き州兵達の"日常”を描いたもので、彼らはそこでは兵士であり、その背後には戦争がある。その"日常”の描写が、かえって時代を被う"何かの大きな間違い”を焙り出し、ぼくらに"何か”について考えさせようとする。その"考えさせる力”こそがジャーナリズムである」と述べています。

3.フィクションのジャンルに優れた作品多数
 一方、ドラマなどフィクションのジャンルに優れた作品が多かったのも、今回の特徴です。ある男のもとに、突然一通のメールとともに幼い女の子がやってきたことから始まる不思議なドラマ、『夏っちゃんの夏』(優秀作品賞・仙石幸太郎・44歳・神奈川県)は、椎名誠氏が「緻密なドラマ構成、フィックスされた画面、統一された色調、洒落たペーソスなど、「TVF」のこの10年で最高のショートムービーではないか」と絶賛した作品です。その他、自分の目の中にいる"意味不明物体・ミジンコ”に気づいた男の物語、『ミジンコピンピン』(優秀作品賞・日本大学藤沢高等学校放送委員会・神奈川県)や、古い記録映像と現実の映像を組み合わせて、レトロな短編ドラマにつくり上げた『京都市電物語 チンチン電車北野線』(優秀作品賞・守田一博・45歳・京都府)、飛行機を見上げたときにふと思い浮かんだイメージを映像表現した『飛行機、好き?』(佳作・志垣秀和・36歳・愛知県)、豊かな自然とやさしい心遣いの少女の何気ない一日を描いた『a vase 花瓶』(佳作・吉木敏博・43歳・岐阜県)、『だるまさんがころんだ』(優秀作品賞・新垣善広・41歳・沖縄県)など、数多くの秀作が入選しました。
 フィクション作品の多くは10分以内の作品となっており、いわゆる「ショートムービー」の分野に属します。これに関して審査委員の小林はくどう氏は「(ショートムービーが)最近ブロードバンドに最適なコンテンツとして注目されていることも反映しているのだろう」と見ています。

4.シニア世代ならではの味わい深い作品に拍手
 ビデオ作品には、作者が見聞きしてきた人生の体験がくっきりと投影され、それが深い味わいとなって観る者に共感や感動をもたらします。「TVF」には、毎回人生の年輪を感じさせる高齢者の優れた作品が応募されていますが、今回もシルバーパワーは健在でした。シニア世代ならではの素晴らしい映像の世界が、そこにはあります。
 アゲハチョウの生態を三年がかりでじっくり観察した労作『生命の神秘(アゲハチョウ)』(優秀作品賞・荻原義正・66歳・東京都)には、審査員の高畑勳氏が「アゲハチョウの妖しい生命の驚異にじっくり立ち会わせて貰えた。美しい映像が人を幸せにしてくれる」と絶賛しています。92歳で一人暮らしの作者が、今日も元気な自分の姿を子どもや孫たちに見せたくて、ビデオに撮った日常記録『ある老人の暮らし92才』(佳作・門馬義一・92歳・山形県)や、古希を間近に待望の初孫に恵まれた幸せと、老境の複雑な心境を、さりげない映像と俳句に詠み込んだ『ビデオ句集「天の使い」』(佳作・近藤甚之助・70歳・静岡県)、『友情の歌声は山間にこだまして』(佳作・海老沢公・80歳・茨城県)などが入賞しました。

5.教育現場からのビデオ作品
 ここ数年の傾向として、教育現場からの応募が目立ってきています。おそらく「総合的な学習の時間」の導入にも関連していると考えられますが、クラブ活動としてのビデオ作品づくりや、課外授業の活動記録、放送部の活動、また先生からの応募もこの作品ジャンルに位置づけられます。
「優秀作品賞」を受賞した『よいこのための学校紹介』(京都市立下鴨中学校パソコン部・京都府)は、中学校に入学してくる小学6年生を対象に、先輩たちが自分たちの学校を紹介する仮想ドラマです。
『転生〜元テロリストの生き方〜』(佳作・兵庫県立東播磨高等学校放送部・兵庫県)、『タバコと健康』(佳作・西川町立睦合小学校児童体育保健委員会・山形県)などはクラブ活動や委員会活動の中から生まれた作品です。また、『清爽〜校長の思いを込めて〜』(佳作・中沢裕・59歳・長野県)、『みんなのおかげ』(佳作・石津善久・42歳・愛媛県)などは先生からの応募です。いじめを題材とした作品『Sticks and Stones(棒と石)』(佳作・Ollie Robbins・イギリス)は、11歳の子供たちが自主制作した海外作品です。

6.アニメーション作品も一段とレベルアップ
 アニメーションやCGを駆使した作品の応募作品全体に占める割合はそれほど大きくありませんが、今回の受賞作品の中では、約10%を占めています。パソコンの処理能力向上やソフトウェアの充実など、アマチュアでも比較的簡単に、このような作品づくりを可能にした環境を背景に、デジタル世代がビデオのアニメーションづくりに続々と参入してきたことを、レベルアップした作品が端的に物語っています。
『都市東京』(優秀作品賞・小柳祐介・21歳・東京都)は、大都会の人々の無関心さを黙々と携帯電話でメールする人々で表現したブラックコメディ、『DIGITAL SNAPSHOT』(優秀作品賞・Daniel Lo lacono・27歳・ドイツ)は、デジタル技術を駆使した映像マジックです。また、クレイアニメーションでは、『TheTree Officer(樹木課の人々)』(優秀作品賞・Neil Jack・25 歳・イギリス)や、『ELVIRA』(優秀作品賞・Juan Manuel Costa・アルゼンチン)が入賞しました。

7.世界の現実を映し、戦争を題材にした作品も多数
 今なお、いたるところで紛争が絶えることのない世界の現実を映して、海外からは今回も戦争を題材とする作品が数多く寄せられました。
 「日本 VICTOR 大賞」受賞作品をはじめ、コソボでの戦争体験を語った『Remzi Cej:A Ticket To A New Life(新しい人生への切符)』(Ludwing Duarte/Erin French/Amy Joy/John Hong・カナダ)、民族紛争の狭間で国籍を持てない人々の悲しみを、7歳の女の子にスポットをあてて描いた『A Story about a little girl(ある小さな女の子のお話)』(Studio"All Children are curs”・ロシア)、遠い昔メキシコの首都で起こった戦争の悲劇をデジタル技術で再現した『1521』(Erik Barron Vargas・25歳・メキシコ)、イラク戦禍でジャーナリストの夫をなくした未亡人の物語『The Pawn(質屋)』(DawnWestlake・39歳・アメリカ)などが、佳作に入賞しています。

『つぶつぶのひび』 『Off To War:Chapter Two(いざ、戦争へ第2 章)』
「ビデオ大賞」
『つぶつぶのひび』

作者:大木千恵子さん/茨城県
「日本 VICTOR 大賞」
『Off To War:Chapter Two
(いざ、戦争へ第2 章)』

作者:Brent and Craig Renaud /アメリカ


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※:このページの内容は、報道発表日時点の情報です。その後、内容に変更が生じる可能性があります。



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