
SX-L9の基本設計は、このミッドレンジユニットに基軸を置いて開発しました。その第1の特長が、ビクターの独自技術オブリコーンです。
センターをオフセットすることで素材の共振を分散させるアイデアは、リニアリティに優れた独自のスパイダーサスペンションと、堅牢なアルミダイキャストフレームがあって初めて実現できたものです。
また、発砲ゴムのエッジ素材に出逢ったことでも大きく音質を向上させました。
SX-L9のミッドレンジユニットは、音質チューニングのために純金プレーティングした18cm口径のピュア・アルミオブリコーン振動板と、同じく頂点をオフセットしたオブリキャップを組合せ、50mmφの大口径エッジワイズ巻きボイスコイルと13,000Gaussにもおよぶリング型アルニコマグネットで強力にドライブ。
SX-L9のツィーターは、頂点をシフトさせたカーボングラファイトによるオブリドームツィーターの開発に世界で初めて成功。15,500Gaussもの超強力アルニコ内磁型磁気回路でドライブします。 超高音域においても素材の共振によるカラーレーションを排除し、ファンダメンタルドライバーとナチュラルに融合した美しい高音域を再現します。
それを精緻に描き出すために、SX-L9が選んだのが密閉タイプのキャビネット構造です。直流背圧の影響を回避するためプレッシャー・イコライジング・チューブを装備し、重低音域まで正確なコーン振動を可能にしました。
そしてウーハーユニットには、大入力にリニアに対応できる軽量ながら高剛性を実現したSPパルプコーンを採用し、12,000Gaussを超える磁気回路で強力に駆動。エネルギー感、豊かな伸び、そして正確な音程の表現力に裏づけられた重低音のリアリティは圧巻です。
まるで楽器のチェロを思わせる美しい色合いのキャビネットは、フロントバッフルに木目が美しいホワイトシカモアの突板を使い光沢塗装で仕上げています。フロントバッフルは18mm厚のMDFの2枚貼り合わせ構造の36mm厚とし強度を大幅に向上。天板と側板も15mm厚パーティクルボードの2枚貼り合わせ構造の30mm厚、背面には25mm厚のパーティクルボード、底板には15mm厚パーティクルボードを2枚、10mm厚のMDFを1枚、30mm厚のMDFを2枚貼り合わせた合計100mmとし、強大な内部音圧に対応するとともに共振を分散、音質を向上させています。
スピーカーユニットの特性を最大限に活かすため、ネットワークは厳選したパーツで極力シンプルに設計してあります。ケイ素コアの無酸素銅線によるコイルやプレーン箔電解コンデンサ、フィルムコンデンサを厳選し、基板を使わない直接接続で音質劣化を防いでいます。 もちろん入力端子はバイアンプ・バイワイヤリングに対応したバナナプラグ対応、真鍮削出しの大型金メッキ端子を採用しています。