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JVC Jazz Festival 2007

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Report JVC Jazz Festival 2007, New York

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JVCジャズフェスティバル 2007レポート ニューヨークVol.2

摩天楼に囲まれたゴージャス・ピアノ・デュオ、ケニー・バロン&イリアーヌ・イリアスと、新世代のワールド・ミュージックの旗手、リオネール・ルエケ

常盤 武彦

 

ジャズ・アット・リンカーン・センターは2004年10月に企画コンサートを催し、大ホールのフレデリック・P・ローズ・シアター、中ホールのアレン・ルーム、毎日音楽が楽しめるジャズ・クラブ、ディジース・クラブ・コカコーラの3つのライヴ会場を、オープンさせた。これらのスペースは、ジャズ・サウンドが、ベストな響きをえられるように設計されており、ややリズム楽器やエレクトリック楽器にたいして残響音が強い傾向のあった、リンカーン・センターのクラッシック音楽のホールを使用していた頃に比べると、格段に音響環境が充実した。JVCジャズ・フェスティバル・ニューヨークでは2005年から、このホール群を使用しており、チック・コリア(p)らが出演した。今年は、アレン・ルームで、ジャズ・ピアノの重鎮ケニー・バロンと、ブラジル出身のピアニスト/ヴォーカリスト、イリアーヌ・イリアスのジョイント・コンサートが催かれた。まずは、その模様をレポートしよう。


 


 

およそ500人収容のアレン・ホールは、ステージの後ろがガラス張りで、コロンバス・サークル広場、セントラル・パークと摩天楼がパノラマのように拡がっている。早いセットは、夕日に映えるマンハッタンが徐々に闇に包まれイルミネーションが輝く様子がわかる。極上のBGMも加わって贅沢なひとときが流れていく。

 

ケニー・バロン(p)

ケニー・バロン(p)

リヴィング・レジェンド(生きる伝説)と紹介されたケニー・バロンが登場した。「まだリヴィング・レジェンドと言われるほどは、歳をとってはいないですよ。」と軽く返し、ソロで小粋なスウィング・ピアノを聴かせる。イリアーヌのレギュラー・トリオのマーク・ジョンソン(b)とタケイシ・サトシ(ds)が加わり、伝統的スタイルのオリジナル曲。

 

ステージが暖まったところで、華やかな雰囲気を醸し出してイリアーヌ・イリアスが現れた。リズム陣二人が退場し、スタンダード曲”ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト”が演奏される。ジャズ・ピアノの王道をいくバロンと、ブラジル音楽特有のテンション・ノート(不協和音)を盛り込んだ独自のハーモニー感覚を持つイリアーヌのコントラストが鮮やかだ。2人が生む強烈なグルーヴは、ソロ交換でさらに高揚し、ぐいぐいと観客を引き込んでいった。


イリアーヌ・イリアス(p)イリアーヌ・イリアス(p)

大きな拍手でバロンは退き、ギターのフレディ・ブライアントが加わったリズム陣が座った。ジョビン・ナンバーの”シェナ・デ・サウダーヂ”、イリアーヌが17歳の頃、故郷のサンパウロのクラブでこの曲を演奏していたときに、アントニオ・カルロス・ジョビンと、その盟友ヴィニシウス・ヂ・モレイラが客席にいたそうだ。今もこれを弾くと、その瞬間を鮮やかに思い出すと語った。冒頭のテーマは、ハスキー・ボイスのヴォーカルでとり、ソフト・タッチで始まる。しかしピアノ・ソロになるとハード・コアなアドリブが展開される。ジョビンや、イリアーヌがもっとも大きな影響を受けたビル・エヴァンス(p)のナンバーが奏でられるうちに、背景のトーンも暗くなりロマンティックな雰囲気に包まれる。


イリアーヌ・イリアス(p),ケニー・バロン(p)イリアーヌ・イリアス(p),ケニー・バロン(p)

最後にケニー・バロンが再び登場、アンコールにはジョビンの”ウェイブ”が選曲された。ブラジル音楽をテーマにしたアルバムも、数作リリースしているバロンが堂々たる貫禄を示して、大喝采のうちに、幕を閉じた。



 

大ホールや地域サービスとの連動と並んで、JVCジャズフェスティバル・NYの重要な要素は、ニューヨークのジャズ・シーンを支えているジャズ・クラブとの提携した、若手や前衛系のベテランにスポットを当てた企画である。。

 

リオネール・ルエケ

リオネール・ルエケ

新進気鋭のギタリスト/ヴォーカリスト、リオネール・ルエケの”ジャズ・スタンダード”におけるライブも、その一つだ。ルエケは西アフリカのベニン出身、象牙海岸、パリを経て1999年にアメリカに留学した。2002年にテレンス・ブランチャード(tp)のグループに起用されて注目を集め、ハービー・ハンコック(kb,p)のグループへの参加で、その才能を広く知らしめた。この日のギグは昨年発表した最新作”ヴァージン・フォレスト”の中核メンバー、イタリア出身のマッシモ・ビオルカティ(b)、ポーランド出身のフェレンク・ネメス(ds)のトリオに、ゲストでマーカス・ミラー(el-b)や、カサンドラ・ウィルソン(vo)・グループのメンバーで活躍するスイス出身のグレゴア・マレ(harmonica)という多国籍編成であった。


リオネール・ルエケ(g.vo)、マッシモ・ビオルカティ(b)、フェレンク・ネメス(ds)、グレゴア・マレ(harmonica)

リオネール・ルエケ(g.vo)、マッシモ・ビオルカティ(b)、グレゴア・マレ(harmonica)、フェレンク・ネメス(ds)

アルバム同様、透明感溢れるファルセット・ボイス(高音域の裏声)と暖かな音色のガット・ギター、時に激しいリズミックなプレイで、楽しませてくれる。ルエケは、大手のブルーノート・レコードと契約、夏にこのトリオを中心として録音を行い、来年早々に発売が決まった。今後のさらなる飛躍が期待される。

 

 

 



Eliane Elias  http://www.elianeelias.com/

Kenny Barron http://www.kennybarron.com/

Lionel Loueke http://www.lionelloueke.com/

Jazz at Lincoln Center http://www.jalc.org/

Jazz Standard  http://www.jazzstandard.net/

 

6/24 於The Allen Room, 6/26 於Jazz Standard, NYC

 

 

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