日本ビクター(株)は、業界で初めて※、2つのハイビジョン(HD)記録方式に対応した「Video Cameras 用デュアルコーディック対応HD信号処理LSI」を開発しました。本技術によって、高画質で長時間記録に適したH.264/MPEG-4 AVC方式と、高ビットレートの安定性と既存編集環境への適合性に優れたMPEG-2方式による両方の圧縮方式が選択可能となり、多様なユーザー環境に対応できるハイビジョンVideo Cameras 開発が可能になります。
当社はこれまで数多くのデジタルデータの圧縮符号化技術に取組み、映像コンテンツ制作の分野でも高い評価を得ています。民生用Video Cameras においても、2007年春に高画質画像処理エンジン「HDギガブリッド」を搭載し、世界で初めて1920フルハイビジョン記録を実現した家庭用ハードディスクムービー「GZ-HD7」を発売。その後も高ビットレートのMPEG-2方式を採用した高画質映像モデルを発売し、多くのお客様から高い評価を得ています。
そうした中、ハイビジョン映像に対するニーズが急速に高まるVideo Cameras 市場においては、記録したハイビジョン映像のユーザー編集環境も多岐に及んでおり、これからのハイビジョンVideo Cameras には、幅広い対応力が求められるようになってきました。今回当社は、MPEG-2方式とH.264/MPEG-4 AVC方式を採用し、2つのHD記録方式に対応した「Video Cameras 用デュアルコーデック対応HD信号処理LSI」を開発、進化した画像処理エンジン「HDギガブリッドDuo」へ搭載することで、そのような多様なユーザー編集環境に対応します。
「MPEG-2」:1995年7月にISO/IEC JTC 1のMoving Picture Experts Groupによって決められた標準規格。
「H.264/MPEG-4 AVC」:2003年5月にITU(国際電気通信連合)によって勧告された動画データの圧縮符号化方式に対する標準規格。
※:2008年6月9日現在、家庭用ハイビジョンVideo Cameras 用技術として(当社調べ)
ハイビジョンVideo Cameras に最適なシステムを考案するにあたり、その基本技術であるH.264コーデックの高い圧縮効率を最大限活用し、フルハイビジョン画像サイズ(1920画素×1080画素)を高画質にエンコード可能なアルゴリズムを開発。H.264フォーマットの普及に伴い、次世代HD 記録機器との親和性も高いH.264/MPEG-4 AVC方式での高画質再生にこだわりました。
コーデックアルゴリズムの最適チューニングを行い、低レート記録時の画質改善を実現。記録レートのダイナミックな制御を行いながら最適化を図ることで、低レート(5Mbps)においても高精細なフルハイビジョン(1920画素×1080画素)での長時間記録を可能にしました。
H.264コーデック時、動きSearch (ME)等の演算負荷が大きくなり、従来記録であるMPEG-2方式より複雑な信号処理が必要となります。この課題を解決するため、コーデック処理アルゴリズムを最適化し、高速な処理を可能にしました。また、外部メモリとのアクセスを専用ダイレクトメモリアクセス(DMA)回路を使用することにより高速化しています。
動きSearch (ME)ブロック、動き補償(MC)ブロックの一部を共用化し、また内蔵メモリの共用化をすることで、デュアルコーデックでも最小限の回路規模で本システムを実現します。
「HD信号処理LSI」の前段階に、HD用の様々な種類のイメージセンサに対応したカメラ処理回路LSIを組み合わせて効率的な処理を施すことで、カメラブロックから得られる高画質な信号を劣化させることなく記録できるHD信号処理システムを実現します。
この件に対するお問い合わせ先
日本ビクター(株) コーポレート コミュニケーション部 広報グループ 03-3289-7678