日本ビクター(株)は、世界初※1の“スーパーハイビジョン※2フル解像度D-ILAProjectors ”を新開発しました。本機は、昨年技術発表した3500万画素のD-ILA表示素子を3個使用し、独自開発の大光量・高コントラスト・高効率光学系を組み合わせることにより、D-ILA方式のProjectors としては最も明るい10,000ルーメンの輝度と5500:1のコントラストを実現しました。さらに、従来の画素ずらし方式のスーパーハイビジョン※2Projectors と比較して、明るさ1.5倍、コントラスト比3倍、消費電力は約半分で、世界トップクラスの解像度性能と高い環境性能をあわせて実現しています。
本機は、5月21日(木)〜24日(日)にNHK放送技術研究所(東京・世田谷)で行われる一般公開に展示されます。
※1:2009年5月12日現在、当社調べ。
※2:“スーパーハイビジョン”はNHKで研究開発中の将来のTV放送サービスで、1画面内の画素数が約3300万画素(水平7680×垂直4320)毎秒60フレーム順次走査映像と22.2マルチチャンネル音響から成ります。映像フォーマットはITU-R BT.1769, SMPTE2036として国際標準となっています。
[ Japan Victor Co., Ltd. は、株式会社ケンウッドとの経営統合にともない、2008年10月1日付で株式移転の方法により設立された共同持株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社」の100%子会社となりました。]
従来のスーパーハイビジョン※2Projectors は829万画素(3840×2160)の表示デバイスを採用し、グリーンのみ画素ずらしを行なうことで、4,000TV本の解像度を実現したため、レッド、ブルーなどについては4,000本の解像度は表現されていませんでした。今回開発したProjectors は、R・G・Bそれぞれに3500万画素(8192×4320)のD-ILA表示パネルを採用しているため、全色にわたって4,000TV本の解像度が得られます。
高精細Projectors の特徴として、大画面に表示した場合に画素が見えないことがあげられます。本機は、10,000ルーメンの高輝度を実現し、400〜600インチの大画面スクリーンを用いた場合でも十分な明るさが確保できます。また、この場合でも1画素が1mm程度で表示可能です。
大型Projectors は輝度を優先するため、一般的なコントラストは1000〜2000:1程度となっています。本機は、5500:1と高いコントラスト性能を実現し、高画質化を図りました。
従来機は2,000ワットのランプを2本使用して7,000ルーメンの輝度でしたが、本機は3,000ワットのランプで10,000ルーメンの輝度を実現。これにより、消費電力を50%に低減するとともに、ランプコストも60%に低減させています。
スーパーハイビジョン※2は、ハイビジョンの約40倍もの膨大な情報を入力する必要があるため、従来のHD-SDI等の伝送系では最低でも64本の同軸ケーブルを接続する必要がありました。本機は、現在標準化されている映像インターフェースの中で、最も多くの情報を伝達できるHDMI Deepカラーを採用することで、従来比4分の1の16本のケーブルで76Gbit/Secの情報を伝達可能となり、設置性が大幅に向上しました。また、各色12bitの階調表現も可能です。
HDMI信号は長距離伝送ができず、5m程度の距離しか伝送できません。本システムでは、4本の光ファイバーでスーパーハイビジョン※2の映像信号を伝送可能な光伝送装置の新開発により、高い安定性と低コストで長距離の映像信号伝送を実現しました。
昨年発売した4KProjectors 「DLA-SH4K」に採用され、好評を得ているスーパーハイビジョン※2の画素ずらし用レジストレーション調整機構を改良して搭載。1/10画素単位でレジストレーション調整が可能です。
Projectors 本体には電源スイッチ以外に可動部分がなく、全ての操作はネットワーク経由でパソコンから操作を行います。Projectors は、一般的に手の届かない場所に設置される場合が多いため、ネットワーク経由での制御により、高いメンテナンス性とフレキシビリティを確保しています。
当社は1996年より、ハイビジョン(HD)解像度を超える次世代高精細映像システムの開発に着手し、2000年秋に786万画素(水平3840×垂直2048)の「初期4K2K D-ILAデバイス」を開発。2001年3月より研究目的のユーザーにそのデバイスを搭載したProjectors の供給を開始しました。その後、2007年6月には画素ピッチ6.8μm、水平4096×垂直2400ドットの「世界最小1.27インチ4K2K D-ILAデバイス」を開発。さらに、2008年1月には、同デバイスを搭載したProjectors 「DLA-SH4K」を商品化し、市場に供給を開始しました。こうした開発活動を進めながら、当社は、「デジタルシネマイニシアティブ(DCI)」の4K2Kスペックの規格化への協力や、NHKが開発した「スーパーハイビジョン8K4Kシステム」に当社製Projectors が採用され、愛知万博や九州国立博物館で使用されるなど、国内外での次世代高精細映像システムの研究・取り組みに貢献してきました。
近年、フルHD映像が世界規模で一般家庭にも普及・浸透する一方で、新しいTV Set 放送規格化提案をはじめ、デジタルシネマ、プレゼンテーション、監視・制御、医療分野などで、HDを超える次世代高精細映像へのニーズの高まり、各分野での取り組みが活発になっています。
今回、当社が開発した“スーパーハイビジョン※2フル解像度D-ILAProjectors ”は、次世代高精細映像のニーズに対応する、世界最高※3解像度のプロジェクションシステムであり、映像技術で世界の先端を走ってきた日本のTV Set 産業に大きく貢献するとともに、スーパーハイビジョンの実用化に大きく貢献するものと確信しています。
※3:2009年5月12日現在、当社調べ。
方式 |
D-ILA3 板式(RGB) |
解像度 |
8192 × 4320 画素(SHV:7680 × 4320) |
光源ランプ |
3,000W キセノンランプ |
輝度 |
10,000 ANSI ルーメン(3.3lm/w) |
コントラスト |
5500:1 |
ANSI コントラスト |
400:1 |
入力フォーマット |
60fps プログレッシブスキャン |
入力インターフェース |
HDMI(deep color)× 16 チャネルSMPTE-2036 準拠 |
入力・表示階調 |
RGB 各12 ビット |
光学エンジン |
1.7 インチワイヤーグリッド光学エンジン |
電源 |
AC 単相200V |
消費電力 |
3,500W |
本体寸法 |
(W)1,080 ×(D)1,250 ×(H)456 mm |
本体重量 |
168kg |
この件に対するお問い合わせ先
日本ビクター(株) コーポレート コミュニケーション部 045-444-5310