音が悪いってどういうこと?
ステップ1 | 一口で「音が悪い」といっても、いろんな場合があります。 まず、あなたの「音が悪い」が、どういう原因で起こっているのかを調べてみましょう。 下表の左列<症状>であてはまるものを捜してください。 原因と解決の手掛かりが分かるかもしれません。 |
ありがちなトラブルの原因と対処法
症状 | 主な原因 |
解決のヒント |
・声がわんわん響いて何を話しているか分からない。 ・コーラスやクラシック音楽の演奏が響かないので物足りない。 ・パーティールームや会議室がざわざわした感じで話がしにくい。 |
残響時間が適切でない |
残響時間は部屋の内装材料に何を使うかで決まります。 → 残響時間の問題 解決の手順はこちら |
太鼓の音やスピーチの声がダブって聞こえる。 |
有害な反射音が発生する室形や仕上げになっている |
音のダブりは、建物が原因の場合と音響システムが原因の場合があります。 建築で原因となることが多いのは、音源方向から見て正面にある壁(ホールの後壁等)や高い天井からの反射音です。 有害な反射音を無くすには、壁や天井の角度を変える方法と反射する面に吸音材を貼る方法があります。 音響システムではスピーカが複数箇所に取り付けられていると別々のスピーカから次々に音がダブって聞こえてくることがあります。 通常このような場合はディレイ装置を使って各スピーカから音を出すタイミングを調整するのですが、その調整にはある程度の技術を要します。元々ディレイ装置が組み込まれていない、調整がうまくいっていない、各スピーカの向きやレベルバランスが悪いこと等が原因になります。調査を行った結果、再調整だけで改善した例もあります。 |
・低い音がこもって聞こえる |
低域の吸音が不足している |
吸音材を貼るだけでは、高い音は吸音されても、低い音には効果がありません。 また、一般的には吸音効果があると思われているカーペットやカーテンも低域に対しては効果は僅かです。 低域を吸音するには、吸音材の背後に大きな空気層を取る、吸音材を厚くする、共鳴型の吸音構造を用いる、等の方法があります。 |
・演奏しにくい ・合奏者の音が聞こえない |
残響時間が適切でない 音響反射板が無い、形状が悪い ステージ上の拡声に問題がある |
音楽を聴くのにちょうど良い残響時間があるように、音楽を演奏するのにも適切な残響時間があります。 → 残響時間の問題 解決の手順はこちら 音響反射板の役割は、有益な反射音を観客に届けることと、演奏者自身に返すことです。 電気音響システムを用いた演奏では、演奏者にスピーカで自分自身の音や他の演奏者の音をフォールドバックスピーカで返しています。このステージ上の拡声も観客席に対する拡声と同じくらい重要なものです。 |
・スピーカの音が悪い |
電気音響設備に問題がある 設置する部屋や置き場所に問題がある |
「音が悪い」というとスピーカが悪いと思われがちですが、部屋、置き場所に原因があることも少なくありません。 音響設備と部屋の両面から「音が悪い」原因を探っていくことが大事です。 → 電気音響設備の問題 解決方法はこちら |
ステップ2 | あなたの「音が悪い」は何が問題なのか見当がつきましたか? それでは問題を解決する方法です。 |
事前調査 ↓ |
・現状の問題点は何かを知る → 現地調査、測定による方法 → 図面、資料からの検討による方法 ・改善目標の設定 ・どんな対策ができるかの提案 |
解決策検討 ↓ |
・対策費用vs効果の見極め ・解決方針の決定、関係者への説明 ・具体的な仕様設計 |
施工 ↓ |
・音響工事 |
竣工後 | ・結果の確認 → 音響測定、調整等 |
事前調査 ↓ |
・現状の残響時間は何秒かを知る → 現地測定による方法はこちら → 残響計算による方法はこちら ・最適残響時間−目標値の設定はこちら ・どんな対策ができるかの提案 |
解決策検討 ↓ |
・対策費用vs効果の見極め ・吸音材、工法 ・効果的な吸音材配置方法 ・解決方針の決定、関係者への説明 ・具体的な仕様設計 |
施工 ↓ |
・音響工事 |
竣工後 | ・結果の確認 → 音響測定、調整 |