人間性豊かな専門職の育成を目指して、1971(昭和46)年に設立された、岩国短期大学様(幼児教育科/ビジネス実務科、学生数429名)(http://www.iwakuni.ac.jp)は、
1.学生のニーズに対応、2.時代に即した外国語教育の実施等を目的として、2004 (平成16) 年9月、日本 VICTOR が開発した『語学学習支援システムWeLL』(フルデジタルCALLシステム)を導入されました。
(WeLLについては、http://www.victor.co.jp/pro/avc/product/well/index.htmlをご参照ください)
同短大は、1988(平成元)年度に当時としては最新のLLシステムを導入されましたが、インターネットが広く普及した現在のニーズに合うよう、新しい語学学習支援システムの導入を検討されていました。当初は、LLシステムの延長線上での導入を考えておられましたが、当社が最新の語学学習支援システムWeLLをご提案したところ、以下の点を高く評価いただき、採用が決まりました。
1.ネットワークを利用したマルチメディア機能の学習が求められる現在では、旧来のLLシステムではその実現が不可能である。WeLLはパソコン利用に強い関心を示す学生のニーズに応えるものでもあり、外国語習得に必須の学習機材である。
2.学生にとって、WeLLの持つ音声配信機能や、音声の速度変換機能等は、リスニング演習には欠かせない機能である。このような従来のLLをベースにした音声学習と、マルチメディア機能を活用した学習が同時進行できることは、外国語習得の近道といえる。
一方、教員サイドでは、たとえば、遅刻者の即時授業参加を容易に実行できること、音声教材の事前転送が円滑な授業運営を推進する点等を評価した。
3.保守サービスの迅速性、過去の納入実績と技術要員の質・量とも高く評価できる。また、豊富な知識と経験が、今後の本学の情報教育に大きな貢献をもたらすと期待できる。
1.WeLLを使った授業科目(2004年度後期)
英語II、英語IV、実用英語II、IV。2005年度からは、実用英語I?IVに加え、ビジネス英語や時事英語でも使用される予定。必修の英語I、IIでも、全クラスが可能な限り全期にわたってCALLシステムを活用できる時間割を組まれる予定。
2.WeLLを使っている教員
英語担当教員は、専任3名、非常勤3名の合計6名(ネイティブ教員はこの内2名)で、今年度はこの内4名がWeLLを使われています。
3.使われている主な機能
●LL機能=音声会話、練習録音
●AV機能=AV制御、映像ネットワーク伝送
●CAI機能=ファイル配布、出欠管理
●教材作成機能=センテンス分割、対訳付加
4.使われている主な教材
ラーニングウェア=Native World Pro
旺文社DI=英語レベルアップ講座(TOEIC® テスト スコアアップ)
マイクロソフト=Office Pro 2003
5.システム構成図
文部科学省の通達により、幼児教育科(幼免)の英語が、平成12年度から必修になったこと、一部の幼稚園では英語学習が行われるようになったこと、岩国市には米軍のキャンプがあって、外国人と市民とが日常的に接しているという環境にあって、学生たちも国際親善等のための外国語学習に対する取り組みが積極的であるというような理由により、このCALLシステムを導入しました。
4年制の大学と違って短期大学は2年ですから、時間の余裕がありません。集中的に一所懸命勉強しないと、資格取得、さらには就職につながりません。ですから学生たちは必死で勉強しています。今までのLLシステムでは、こうした学生たちのニーズに応えるには課題が多すぎました。幸いに今回導入したCALLシステムは、そうした課題を克服するにふさわしい支援システムであると評価しています。
● CALLシステムのお陰で、準2級の実用英語試験(英検)に合格
最近こうした例がありました。サラリーマンをリタイアされた男性が、海外青年協力隊のシニア・ボランティアになりたいと英語学習のために当短大に通うようになりました。TOEICのリスニングを中心とした実用英語の学習です。9月に導入したWeLLを使うようになってから、一段とリスニングのスピードが上がり、非常に効率の良い学習ができました。その結果、11月に行われた英検・準2級試験では見事1回で合格されました。次は2級に挑戦すると、大変喜んでいただきました。こういうことが、学生へのいい発奮材料になれば良いと考えています。
● 幼児教育科で、会話中心の効率的・効果的な英語授業
導入して間がありませんから、まだ多くの機能を使いこなすという段階には至っていませんが、幼児教育科では、保育向けの英会話テキストを使って、会話中心の英語授業を行っています。
例えば、speakerから補助教材の音声を一斉に流したり、ブース卓のPCに一斉録音された同じ内容の教材音声を学生が個別に聴くなどして、会話の内容を理解してもらいます。また、学生はPCに録音された教材音声を聴きながら自分の声を録音してリピート練習したり、以下のような従来のLLシステムには無い機能を使い、授業を効率的・効果的に進めています。
1.出席名簿の登録=学生にとって効果的なのが、学生自身の手で自分の名前を登録することです。このささやかな行動が、英語の授業に主体的に参加しているという意識を芽生えさせて、いい結果を生んでいるようです。
2.音声の波形表示・簡単な操作=自分の声を録音する時に、自分の声がディスプレイ上に波形で表示されますので、自分の目で確認できるところが、学生に好評です。また、繰り返し再生したい波形部分をMice で直接選択しリピートボタンを押せば、集中的に聴き取り・発音練習をすることができ、学生は熱中してそれに取り組みます。その後、各自が必要に応じてスクリプトと日本語訳を参照することもできます。
3.ペア/グループ会話練習のランダム設定=いつも同じメンバーでの会話練習だと刺激が薄れてきますが、ランダムにペア/グループを組むことができるために、その都度ドキドキ感があって緊張感を持った学習ができ、学習効果を高めることが可能です。また、パートナーの名前がPC画面に表示されることも学生には嬉しいようです。
4.教材作成=特に音声教材の作成・編集が簡単で処理も早く、作成した教材をサーバに登録しておけばいつでも個人あるいは教員間で利用することができます。一方、独自のHTML教材を用いて保育に関する用語や文法のチェックをさせるなど、これまでには無かったPC学習が目新しく学生は興味を持ってくれます。
以上、1.に始まり、学生の自主的・積極的な授業への取り組みが、システム導入後に見られる最も大きな変化だと言えます。