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JVC Jazz Festival 2007

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Report 2007 JVC Jazz Festival Neport, R.I.

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JVCジャズフェスティバル 2007レポート ニューポート Vol.2

 

JVC Jazz Festival New York  Logo前日の雨がウソのように晴れ渡り、雲一つないフェスティバル日和となった。会場のフォート・アダムス州立公園には、要塞跡の塀をバックに海を望むメインのJVCステージ、大テント会場のパビリオン・ステージ、海辺のウォーター・サイドと、3つのステージが設営され、同時に稼働する。注目のアーティストを見逃さないためタイム・テーブルをじっくり検討しなければならない。午前10時の開場とともに、待ちかねたファンが続々と来場し、開演前には、日よけのパラソルが、林立していた。

写真・文:常盤 武彦

 


ジョシュア・レッドマン(ts,ss)

 

JVCステージに登場したスターターは、新作「バック・イースト」も好調なジョシュア・レッドマン(ts,ss)のトリオだ。アルバムでは曲によって異なったメンバーでトリオを構成しているが、ツアーには中堅ではNo.1のベーシスト、クリスチャン・マクブライドと、大ベテランとの共演で進境著しいエリック・ハーランド(ds)が起用された。一曲目は、アルバムと同じく「飾りのついた四輪馬車」。ソニー・ロリンズ(ts)が、57年に西海岸に遠征して録音したサックス・トリオ・アルバム「ウェイ・アウト・ウェスト」に、敬意を表した選曲だ。「ニューポートで、こんな快晴は初めてだ。」とここ数年、常連出演のジョシュアが、観客の歓声に応える。ピアノやギターといった和音を奏でて、ハーモニーを明確にする楽器がいない編成が、ジョシュアのサックスのアドリブ・メロディを、いつも以上に自由奔放に駆けさせた。

 

ジョシュア・レッドマン(ts,ss),クリスチャン・マクブライド(b),エリック・ハーランド(ds)


 

ブルース・ホーンスビー(p)

続いて登場したのは、ブルース・ホーンスビー(p)・トリオ。ピアノ弾き語りのシンガー・ソング・ライターとして不動の地位を築いているホーンスビーが、真っ正面からジャズに取り組んだスペシャル・プロジェクトである。ステージに残ったクリスチャン・マクブライド(b)と、現代最高のドラマー、ジャック・ディジョネット(ds)を擁したグループだ。しかし、この最強リズム陣をバックにしながら、実験的なマシーンによる打ち込みリズム・サウンドとミックスしたりと疑問符を感じる瞬間もあった。本来の弾き語りスタイルの演奏は、違和感なく観客にも受けいられている。



 

アナット・コーエン(ts),オマー・ヴィタル(b)

3つのステージの間には、さまざまなエスニック・フードの屋台が並び、目移りがする。ランチをとりながら別のステージに移動すると、パビリオン・ステージでは、ストレートなジャズが演奏されていた。セロニアス・モンク(p)のドラマーだったベン・ライリー(ds)率いるモンク・レガシー・セプテットでは、ニューヨークのジャズ・シーンでもっとも多忙なベーシストの一人、北川潔が気を吐く。映画「真夏の夜のジャズ」で野心的な演奏を聴かせてくれたチコ・ハミルトン(ds)も、およそ50年の時をえて、かくしゃくとした演奏を聴かせてくれた。ウォーター・サイドでは、注目の女性サックス・プレイヤー、アナット・コーエンが、ジェイソン・リンドナー(p)、オマー・ヴィタル(b)ら若手の精鋭達と熱演を聴かせた。


 

マリー・ドルヌ(vo)

メイン会場では、ザップ・ママのマリー・ドルヌ(vo)が、フリルの衣装でバク転という派手なステージ・アクションで盛り上げていた。西アフリカ出身のドルヌに率いられた、ヨーロッパ各国出身のメンバーによる無国籍なファンク/ワールド・ミュージックは、真夏のシー・サイドを70年代のディスコにかえてしまった。意外性のあるブッキングもまたJVCニューポートの楽しみだ。ステージ・チェンジで喧噪もやっとおさまると、登場したのは50年代からのニューポートの常連でジャズ・ピアノの重鎮、デイヴ・ブルーベックだ。かわらぬ小粋なタッチで、スタンダードと代表曲が演奏され、客席もいつもの落ち着きを取り戻した。エンディングはお約束の”Take Five"。舞台の袖には、ニューポート・ジャズ・フェスが始まったときからずっとプロデューサーを務めているジョージ・ウェインが旧友を待ち、その演奏の労をねぎらっていた。


ザップ・ママ

ジョージ・ウェイン,デイヴ・ブルーベック(p)



 

グレゴア・マレ(harmonica),マーカス・ミラー(el-b)

いよいよこの日も余すところは2バンド、もちろん最強のライナップが続く。まずは7月のロッテルダムのノース・シー・ジャズ・フェスティバルでも大活躍だったマーカス・ミラー(el-b)。いつものメンバーで、マイルス・デイヴィス(tp)の十八番ナンバーから、ビートルズの”Come Together"まで、ファンキーをキーワードにすべてがマーカス色に染まる。ハモニカのグレゴア・マレのシャープな音色が、光っていた。

 


 

ブランフォード・マルサリス(ts)

真打ちは、ブランフォード・マルサリス(ts)だった。不動のメンバーのクァルテット、デビュー以来の盟友ジェフ・"テイン"・ワッツ(ds)との激しいサウンド・バトルは、63年に、ジョン・コルトレーン(ts,ss)と、エルヴィン・ジョーンズ(ds)の代役で、一世一代の大熱演で渡り合ったロイ・ヘインズ(ds)とのバトルを思わせる。対岸に夕陽は傾きはじめ、客席がアンバー色に包まれた。夏の一日とともに、惜しまれつつフェスティバル初日が暮れてゆく。

(8/11/2007 於Fort Adams State Park, Newport, RI)

 



 

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Joshua Redman http://www.joshuaredman.com/
Marcus Miller http://www.marcusmiller.com/
Branford Marsalis http://www.branfordmarsalis.com/

 

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