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JVC Jazz Festival 2007

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Report 2007 JVC Jazz Festival Neport, R.I.

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2007 JVCジャズフェスティバル レポート ニューポート Vol.1

 

JVC Jazz Festival New York  Logoアメリカの夏の風物詩の一つには、野外での大型音楽フェスティバルがある。

かつてのウッドストックに代表されるように、キャンプやピクニックのような開放的な雰囲気の中で、音楽を楽しむスタイルは、一つの文化としてすっかり定着し、全米各地で開催されている。JVCがサポートする海外音楽Event で、JVCジャズフェスティバル ニューヨークとロッテルダムのノースシー ジャズフェスティバルに続き、野外で催かれるビッグ・Event が、8月のJVCジャズフェスティバル ニューポートだ。前夜祭と2日間の週末の模様を3回にわたってお伝えしたい。

写真・文:常盤 武彦

 


 

JVCジャズフェスティバル ニューポートの前身、ニューポート・ジャズ・フェスティバルは、1954年にスタート、今年で53回を数えている。本年50周年を迎えた西海岸のモントレー・ジャズ・フェスティバルと並んで、もっとも古いHistory と由緒を持つ、野外コンサートだ。過去に数々の名演がライブ・アルバムとして記録され、アメリカ・ジャズ史の中でも、重要なEvent の一つである。JVCは1984年からスポンサー・シップをとり、JVCジャズフェスティバル ニューポートとして、現在もHistory を刻み続けている。

その舞台となる、ロードアイランド州ニューポートは、ニューヨークシティとボストンの中間に位置する、高級リゾート地だ。かつては、国際ヨットレースのアメリカス・カップの開催地であり、東海岸随一のセイリング・スポットとしても知られている。またセレブリティの避暑地として知られ、鉄道王のヴァンダービルト家ら実業界の大立者が別荘を構え、ジョン・F・ケネディや、アイゼンハワー元大統領の夏の執務地でもあった。今も町外れの大西洋側の海岸には、豪壮な邸宅が建ち並んでいる。1958年には、ファッション写真家のバート・スターンによって、ニューポート ジャズフェスティバルで熱演するミュージシャンと、集うセレブやさまざまな聴衆、アメリカス・カップの様子などの夏の日を活写したジャズドキュメンタリー映画の傑作「真夏の夜のジャズ」が製作され、当時の風俗や盛況ぶりを、現在に伝えている。


 

Photo1

写真:石川 義昭

今年のフェスティバルは、8月の第二週末の土日にフォート・アダムス州立公園で開催された。それに先駆け、金曜日の夜にニューポート市による歓迎Event としての前夜祭が、催かれる。会場は、50年代のフェスティバルの舞台だったニューポート・カジノ(社交クラブで、ギャンブル場ではない)内にある、1881年にテニスの第一回全米オープンが行われた国際テニス殿堂だ。スタンドもある野外テニスコートには、特設ステージとコートの観客席が設営された。前日の快晴とうってかわって、当日は朝からの豪雨、しかし夕方からは雨足も弱まり、地元の名士、音楽ファンが集まって、前夜祭が始まった。



 

今年は、1957年に出演し、伝説的な名演をライヴ・アルバムとして残している、レスター・ヤング(ts)、イリノイ・ジャケー(ts)、ジェイムス・ウィリアムス(vo)、ロイ・エルドリッジ(tp)を擁した最盛期のカウント・ベイシー(p)・オーケストラや、エラ・フィッツジェラルド(vo)、ビリー・ホリディ(vo)、カーメン・マクレエ(vo,p)の三大シンガーの競演から、50周年になる。 それを記念し、57年当時、最年少メンバーとして名前を連ねていた、ビル・ヒュー(tb)が率いるカウント・ベイシー・オーケストラと、エラ・フィッツジェラルド(vo)、サラ・ヴォーン(vo)、ベティ・カーター(vo)亡き後、実力No.1のトップ・シンガー、ダイアン・リーヴス(vo)が登場し、50年前にタイム・スリップしたかとも思わせる一夜を、彩った。

 

ニーナ・フェローン(vo),カウント・ベイシー・オーケストラ
写真:石川 義昭

まだ、小雨がちらつくなか、ベイシー・オーケストラがステージに登場した。"Who Me?"、"In A Mellow Tone"と、軽快にスウィングする唯一無二のベイシー・サウンドに、観客席は晴れ渡ったかのような錯覚にとらわれる。次々に、ベイシーの十八番ナンバーが繰り出される。"One O’Clock Jump"に、喝采が湧き上がったところで、レギュラー・ゲスト・シンガーのニーナ・フェローンが登場、お馴染みの”Shiny Stockings"で、客席からの盛大な歓迎を受けた。誰もが口ずさめるアメリカン・スタンダードが続き、エロール・ガーナ作曲のバラード”ミスティ”では、しっとりとしたヴォイスが会場にしみわたっていく。エンディングには、また豪快にオーケストラがドライブするスウィングチューン"Too Close For Comfort"で、締め括られた。



 

ダイアン・リーヴス(vo)

ジェフ・キーザー(p)

ステージのセッティングチェンジの間、雨雲は移動し夜空には、星もちらほらと見えるようになってきた。音楽監督のジェフ・キーザー(p)が率いるピアノ・トリオの演奏に導かれて、ダイアン・リーヴス(vo)が現れた。80年代半ばに、ジャズ、ファンク、ラテンとあらゆる分野の垣根を越えて歌いこなす天才シンガーとしてデビューして20年を越え、リーヴスは着実にキャリアを積み上げてきた。曲は、アントニオ・カルロス・ジョビン作のボサノヴァ”Triste"、かつてのサラ・ヴォーン(vo)のように歌詞に即興で、観客へのメッセージを歌いこみ、大きな拍手を浴びている。圧倒的な声量、観客も巻き込むグルーヴ感は、現代ジャズヴォーカルの女王の風格が漂っている。ゴスペル曲の”A Child is Born"は、「真夏の夜のジャズ」のエンディングを飾っている伝説のシンガー、マハリア・ジャクソンをも彷彿させる。デイヴィッド・サンボーン(as)ら一流グループからも引っ張りだこのジェフ・キーザー(p)は、的確なアレンジと伴奏で、ダイアンのヴォーカルに絶妙なサポートをしている。エンディングは、敬愛するサラ・ヴォーン(vo)に捧げたブルース”I Remember Sarah"。熱い週末2日間を予感させるに十分な、イントロダクションであった。


 

Vol.2Victor Jazz Cafe Count Basie Orchestra http://www.countbasieorchestra.com/
Dianne Reeves http://www.diannereeves.com/
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