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JVC Jazz Festival 2007

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Report 2007 JVC Jazz Festival Neport, R.I.

Vol.1 Vol.2 Vol.3

JVCジャズフェスティバル 2007レポート ニューポート Vol.3

 

JVC Jazz Festival New York  Logo2日目も、快晴。天候が不安定なニューポートでは、ラッキーなことだそうだ。この日も早い時間から、続々と観客がつめかけベスト・ポジションを確保していく。開始時間が近くなると、車は公園の入り口で渋滞してしまう。ニューポートのダウンタウンから、ウォーター・タクシーというボートに乗って、ヨットや豪華クルーザーの間を通り抜けて会場にやって来るのも、潮風を浴びて爽快だ。

写真・文:常盤 武彦

 


 

ロベルタ・ガンバリーニ(vo),ジェイムス・ムーディ(ts,vo)

JVCステージのトップ・バッターはディジー・ガレスピー・オールスター・バンド。ビバップの元祖の一人、ディージー・ガレスビー(tp)のバンドに所属したジミー・ヒース(ts)、ジェイムス・ムーディ(ts,vo)、アレンジ、指揮も担当するスライド・ハンプトン(tb)らベテランOBから、ロイ・ハーグローヴ(tp)、スティーヴ・デイヴィス(tb)ら中堅、若手シンガーのロベルタ・ガンバリーニ(vo)と三世代が一体となって聴かせるオーケストラだ。素晴らしいアドリブ・プレイヤーであると同時に、稀代のエンターテイナーだったガレスビーの影響を受けた、芸達者なメンバーが揃っている。スペシャル・ゲストで、ガレスビーが愛したキューバ出身の、パキート・デリヴィエラ(as,cl)も登場し花を添えた。ガンバリーニと、ムーディのスキャットの掛け合いは、観客を目覚めさせ、長い一日のスタートを飾る。

 


 

パキート・デリヴィエラ(as.sl)

パキート・デリヴィエラ(as.sl)は、そのままステージに残り、若いバンド・メンバー達の登場を待つ。"Panamericana Ensemble"と名付けられたグループは、ニューヨークのローカル・クラブ・シーンでも注目されている、チェロとトロンボーンを演奏するマルチ・プレイヤー、ダナ・レオング、バンドネオン(アコーディオン)のヘクトール・デル・カート、そしてコロンビアのトラディショナル・ハープを使って、驚異的にリズミックなアドリブを聴かせる。エドマー・カスティネーダを起用したユニットだ。アメリカのジャズ、ブラジルのサンバ、アルゼンチン・タンゴと、南北アメリカ大陸の音楽を、すべてがミックスされたオリジナル・サウンドは、パキートの楽しいステージ・マナーとともに、この日の最初のピークをつくった。

 

パキート・デリヴィエラ(as.sl),Panamericana Ensemble



 

パビリオン・ステージ、ウォーター・サイドの様子も気にかかる。メイン・ステージを離れ、屋台のテントが建ち並ぶエリアを通り、他のステージにむかった。CDショップのボーダースのブースではステージでの熱演を終えたばかりのパキートが、ファンのサインに応じている。JVCブースでは、最新のAV機器のデモンストレーションで、注目を集めていた。フォトグラファーによる写真の展示、ジャズをモチーフにしたアート作品と、音楽を聴く以外の楽しみも満載だ。

 



 

ホメロ・ルバンボ(g),ルシアナ・ソーザ(vo)

大テントのパビリオン・ステージには、ロン・カーター(b)、ラッセル・マローン(g)、マルグリュー・ミラー(p)のドラム・レス・トリオが、緊密なインター・プレイを聴かせていた。かつてのモダン・ジャズ・クァルテット(MJQ)を思わせる、室内楽的なアプローチが新鮮だ。ブラジル出身のシンガー、ルシアナ・ソーザは、数枚のデュオ・アルバムでコラボした同郷のホメロ・ルバンボ(g)と、ベネズエラ出身のエド・サイモン(p)を中核に据え、クリス・ポッター(ts)、アントニオ・サンチェス(ds)、スコット・コーリー(b)と、ニューヨークのジャズ・シーンの中枢にいる中堅ミュージシャン達との新ユニットで登場した。ブラジリアン・スタンダード・ソングとともに、8月末発売の新作”New Bossa Nova”から、ジョニ・ミッチェル(vo,g)、ジェイムス・テイラー(g.vo)、スティーリー・ダンのアメリカン・ポップスをボサノヴァでカバーし、会場には爽やかなブラジルの風が吹き抜けた。ウォーター・サイドにもブラジル出身のピアニスト、イリアーヌ・イリアス(p)が夫君のマーク・ジョンソン(b)、ベテラン・ドラマーのビリー・ハート(ds)のトリオで登場。敬愛するビル・エヴァンス(p)のレパートリーを、セクシー・ヴォイスとハードなアドリブで楽しませる。パビリオン・ステージのトリは、ジョン・ファディス(tp)。ディジー・ガレスピー(tp)直系のエンターテインメント性を発揮し、演奏とジョークで盛り上げた。

 



 

B.B.キング(g.vo)

終盤のJVCステージは、濃厚なソウル・フードのようなゴスペル/ブルース大会となっていた。1958年の映画「真夏の夜のジャズ」の中にも、伝説的ゴスペル・シンガーのマヘリア・ジャクソンや、R&B/ロックン・ロールの元祖、チャック・ベリー(vo,g)が登場する。ニューポート・ジャズ・フェスティバルでは、伝統のラインナップだ。今年は、ゴスペル・シンガーの大御所アル・グリーン、そしてオオトリはお馴染みのB.B.キング(g.vo)だった。バンド・メンバーがステージを暖め、大きな拍手に包まれて、御大B.Bはステージ中央の椅子に鎮座する。その一挙手一投足に歓声が上がった。いつものナンバーに、いつもの展開、しかし毎年フェスティバルに参加しているリピーターも多い観客からは、何の不満もあがらない。誰もが、この偉大なる予定調和を、期待し楽しんでいるのだ。このレギュラー出演のミュージシャンと、常連客の連帯感のなかに、ニューポート・ジャズ・フェスティバル時代から続く伝統が息づき、またこれからもJVCジャズフェスティバル・ニューポートとして未来へと繋がっていくのだろう。来年も、またここニューポートで再会できることを誰もが祈りつつ、真夏の3日間は終わりを告げた。

 


 

Victor Jazz Cafe

The Dizzy Gillespie All Star Band http://dizzygillespie.org/
Paquito D'Rivera http://www.paquitodrivera.com/
Ron Carter http://www.roncarter.net/
Luciana Souza http://www.lucianasouza.com/
B.B.King http://www.bbking.com/

 


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