ハイビジョン等の高品位映像を画質劣化無く非圧縮で伝送可能な光無線技術
家庭用途では初めて1.5Gbpsの高速ワイヤレス伝送を光無線技術で実現することにより、有線ケーブル伝送と同等な画質劣化の無いワイヤレス伝送を可能にする技術。
現在壁掛けタイプの大画面・高精細度ディスプレイが普及しつつありますが、実際にディスプレイの壁掛け設置を行い、スタイリッシュなHome Theater を構成しようとしても、ディスプレイのConnection Cable の敷設が障害となって、なかなか実現できないという問題が起こっています。その解決策としてワイヤレスによる映像伝送が最も期待される技術ですが、現状の電波無線方式では圧縮した映像を送るために、Home Theater のようにアナログソースや各種圧縮フォーマットのソースを扱う用途では、全てのソースにおいて有線と同等な画質で伝送することは不可能でした。 当社はこうした問題を解決するために、長年ワイヤレスLAN応用で開発を進めてきた光無線技術の高速大容量伝送化に挑戦し、手軽に高品位映像を画質劣化なく伝送できるワイヤレス技術に取り組み、今回家庭用としては初めて「光無線ハイビジョン映像伝送システム」を開発しました。本システムは、従来実現が困難とされていた1.5Gbpsの高速ワイヤレス伝送を光無線技術で可能にしたもので、煩わしいコード配線を無くし、Interior コーディネート性に富んだ「ワイヤレス視聴環境」を実現しました。
電波を媒体としたワイヤレスシステムとして、伝送をMPEG等で行う圧縮信号伝送方式が既に存在します。しかし、Home Theater 用途ではアナログソースや各種圧縮方式フォーマットのソースを扱う必要があり、圧縮信号方式では圧縮と伸張を繰り返すことによる演算エラーの増加等の画質劣化が避けられず、画質劣化を生じないワイヤレス伝送手段が望まれていました。本システムでは、チューナーとディスプレイ間を圧縮信号ではなくピクセルデータを直接伝送することにより、チューナーに入力されるハイビジョン信号を含めた各種の映像入力信号に対して劣化の無いワイヤレス伝送を可能としました。(下図ご参照)通常ハイビジョン信号等の映像信号は、表示ディスプレイの画素数に合わせてフォーマット(ピクセル数)変換を行い表示します。現在PDPやliquid crystal televisionにおいてハイビジョン表示の主流フォーマットになりつつあるXGA(1024(H)×768(V)×60Hz)においても、1.5Gbpsの伝送路により非圧縮伝送が可能となります。
送信デバイスとしてレーザーダイオード、受信デバイスとして高感度APD(アバランシェフォトダイオード)を採用、1.5Gbpsの高速伝送を実現しました。また新開発のアイセーフ光学系を採用することにより、目に安全な国際安全基準である(IEC60825-1 Class1)規格をクリアし、家庭内のどのような使用でも全く安全性に問題の無い光伝送を可能としました。伝送距離は10mを確保し、広いリビングルームでもワイヤレスによるHome Theater の構築が可能となります。
本システムでは、高速伝送が可能なレーザーダイオードによる送信光を、新開発のアイセーフ光学系により、目に直接入っても安全なやさしい光に変えて伝送します。アイセーフ光学系は下記の構造図に示すように、レーザー光を拡散面にオフフォーカスで当て、2次的に拡散面光源を生成します。さらにアイセーフレンズと反射面により高効率な平行光としてアイセーフ光を出射します。アイセーフ光学系を使わないレーザー光の場合、目に照射されると最悪条件では図に示すように極めて急峻に網膜上に焦点を結び、網膜の熱変化を発生させる可能性があります。本システムで採用したアイセーフ光学系の場合は非常に広い範囲に結像するため、目に対する高い安全性が確保されます。
受信機はLW-HDW1で幅119mm、高さ31mm、奥行き97mmの大きさですが、将来的にはさらに小型化が可能で、ディスプレイへ組み込める可能性を持っています。
送信機は高速伝送を達成するためビーム状の光で送信を行うので、高速受信機にビーム光を正確に当てる必要がありますが、本システムは自動的に光軸を調整する自動光軸アライメント機構を搭載することにより光軸調整の操作を不要としています。設置時の調整のわずらわしさや、掃除などの際に送信機を動かした場合の再調整の必要もなく、だれにでも簡易にワイヤレス接続が可能となります。