音楽信号に影響を与える符号外成分を解消する、デジタル信号における音質改善技術
多くのレコーディングスタジオやマスタリングスタジオにおいて、必須の技術として日々活躍している「 K2 テクノロジー」。 CDやDVDaudioなど高音質なリニアPCMから、ドルビーデジタルやDTS、BS/CSデジタルに採用されているMPEG-2 AACなどの圧縮デジタル信号まで、飛躍的に音質改善。プロの世界で活躍する VICTOR が世界に誇る音 質改善技術です。
VICTOR スタジオのレコーディングエンジニアやマスタリングエンジニアは「デジタルは、符号を正確に伝送すれば原理的に音質は変わらない」といわれる常識に対して疑問を抱いていました。事実、デジタルテープや機材を換えると明らかに音質が変化するのです。
1987 年、日本 VICTOR と VICTOR 音楽産業(当時)がデジタルにおける音質改善へ一致協力して取り組みを始めました。そして、伝送過程でデジタル信号を波形で伝送する際に付加される符号外成分(ジッターやリップルなど)が音楽信号に大きな影響を与えていることをつきとめ、厄介な符号外成分を根本から解消するデジタル伝送の革新技術「K2 インターフェース」が開発されたのです。これにより伝送過程やメディアの変化による音質劣化を排除し、品質の安定を確保することができるよ うになりました。
この技術は 1994年、正確にディスクのピットを刻む「K2レーザーカッティング」に応用、ディスクの製造品質を大幅に向上させました。 1996年にはJVCマスタリングセンターが開発し、高い評価を受けている高音質CD「xrcd」の主幹技術として導入され、 1998年には更なる高精度化を実現した「デジタル K2」へと進化、それとともに「xrcd2 」へ、また2003年には、全ての工程を 24bit化するとともに更なる音質改善を実現した「 xrcd24」へと大きく進化を遂げています。 2000年には、DVDのディスク製造工程におけるピットカッティング精度を向上させる「DVD K2」を開発、映像面においても 符号外成分の悪影響を排除することに成功しました。また2002年には、フォーマットエンコーダープロセスにおける音質変化要因を排除する「エンコード K2(ENC K2)」を開発、 「K2 テクノロジー」は日々進化を遂げています。
音楽信号はデジタル化することにより、微小信号はビット数の限界により階段状になってしまい、高周波信号はサンプリング周波数の1/2に帯域制限されるため高調波成分が記録されず音質が変化しています。
「 20bitK2 スーパーコーディング」
1993年、16 ビットのCDに20 ビット相当の音楽信号を記録する技術。CDソフトの高音質化を実現。
「 20bitK2 プロセシング」
量子化ビット数の不足により悪化していた微小レベル信号の再現性をハード側で改善する技術。滑らかで自然な音質を可能にしました。
「 EXTENDED K2 プロセシング」 「 EXTENDED K2 プロセシング Ver2.0 」
サンプリングで帯域制限することによる波形変化を改善する技術。楽器に含まれる倍音成分や空気感までも再現。音質を追求したさまざまなaudio機器に搭載されています。
マルチメディアのコンテンツが多様化し、デジタルも効率化を追い求める時代に変化してきました。デジタル圧縮によるデータ容量を軽減する技術で代表的なものに、ドルビーデジタルやDTS, MPEG-2 AAC, ATRAC, MP3 などがあります。人間の聴覚は、音圧レベルが低くなるほど低域と高域の音が聞こえにくくなる最小可聴限特性(フレッチャー・マンソンの曲線)と、音圧レベルの高い信号があると、その周波数の近辺の音も聞こえにくくなるマスキング特性があります。これらを利用してデータを間引く作業がデジタル圧縮です。こうした効率化は、これからのメディア形態や音楽配信、大容量の映像を伴う場合などには必要不可欠となり、デジタルの主流となりうる技術といえるでしょう。ところが一方で、デジタル圧縮は非可逆圧縮と呼ばれ、圧縮前の信号に完全復元することが不可能な圧縮方式なのです。当然これら圧縮による音質変化が発生することも事実で、高域の情報量や低域の力感の不足、迫力や明瞭度の低下といった音質劣化が生じます。
「CCコンバーター」
2000年12月、圧縮による音質変化(高域の情報量や低域の力感の不足、迫力や明瞭度の低下といった音質劣化)に対応させた新世代の「 K2 テクノロジー」。
「CCコンバーター」は、入力デジタル信号に応じてビット拡張と周波数帯域拡張を行うもので、「ビット拡張部」「周波数変換部」「帯域拡張部」から構成されています。各拡張部では、入力デジタル信号波形の分析を行い、変換前のアナログ信号を想定した再生成を行っています。「帯域拡張部」には、圧縮信号に対応した圧縮アルゴリズムと非圧縮 信号に対応した「ハイファイアルゴリズム」を設定。特に圧縮音楽に対しては、リアリティ再現のため、音楽性の見地から様々な考察を行った「リアルアルゴリズム」を確立しています。これにより、圧縮audioからハイファイaudioまで、ジャンルを問わずあらゆる音楽ソースの高音質化を実現しています。