ラジオなどの話し手の声をデジタル信号処理技術により、クリアーで聞き取りやすい音声に変換する技術。
「聴取補助システム」は、ラジオなどの話し手の声をデジタル信号処理技術により、クリアーで聞き取りやすい音声に変換し、コミュニケーションの円滑化を図るものです。本システムは、 以下の3つの機能からなっています。
(1)早口な音声も聞き取りやすい速度にする「ゆっくり機能」
(2)聞き易い音圧レベルにする「はっきり機能」
(3)聞き逃した音を繰り返し聞ける「聞き直し機能」からなっています。
なお、本システムは経済産業省の新規施策「ITバリアフリープロジェクト」の一環である「障害者・高齢者等向け情報システム開発事業※1」に選定されました。
※1:障害者や心身機能の低下した高齢者等が積極的に参画できる「日本型IT社会」の早期実現を図るため、障害者や高齢者等にとって使いやすい情報通信機器・システムの開発を支援するために、財団法人ニューメディア開発協会が経済産業省から委託を受けて公募を実施した事業。
NHK放送技術研究所の協力を得て、人の声をリアルタイムに速度変換する信号処理を開発。ただ再生速度を遅くするのではなく、話し始めをゆっくり再生し、徐々に再生速度を元の速さに戻す処理を行います。これにより、 " 話す速度がゆっくりになった感覚 ” が得られるだけでなく、発話内容の理解度も向上し、話し手が意思を持ってゆっくり話しているような自然な話速変換を実現しました。
年齢を重ねるに伴い衰えてくる聴力特性に対応。小さな音は聞き取り難く、大きな音は不快に感じる " リクルートメント現象 ” を解決するために、可聴帯域を3分割し、各帯域で小さな音は大きく、大きな音は小さくなるように信号処理を行なう「帯域分割音声圧縮技術」を開発。さらに、ニュースなどアナウンス主体の音声処理と音楽再生主体の処理に分けることで、音源に合わせた聞き取りやすい再生音を実現しました。
一定量の入力信号を常時メモリーに蓄積することで、聞き逃した放送内容を聞き直したい時など、時間を逆のぼり繰り返し再生できます。また、通常の反復再生に加え、上記2つの聴取補助技術を併用した再生が可能です。