従来の高画質エンジンは画面全体での画一的な画質調整にとどまっていました。 VICTOR 独自の映像知能ジェネッサでは、同一シーンでの明暗部それぞれにおける最適なコントラストを秒速60回の速度で演算して実現し、さらに美しい色彩を表現するカラー Control をリアルタイムに同時に行っています。アナログ時代から培った VICTOR 独自の高画質技術が活かされているGENESSAの開発に携わった技術部 打田友昭にインタビューしました。
(このインタビューは2005年1月に行ったものです。)
ジェネッサについて分かりやすく説明してもらえますか。
このジェネッサは、大きく二つの機能があります。
(1) 絵柄全体を見て、コントラストを調整する機能
(インテリジェントガンマ)
(2) 指定した部分だけの色を調整する機能
(カラークリエーション)
この2つの機能によって、暗い影の部分に埋もれてしまう映像や明るく白とびしてしまう部分が混在しても立体感を再現することができます。さらに「記憶色」という、人が美しく感じる色彩を表現することが可能になりました。例えば、ゴルフの芝生の映像の、緑の鮮やかさとくっきりしたコントラスト感を見てもらえれば、分かっていただけると思います。
実は、ジェネッサの機能の基本的な考え方は、 TV Set 技術の中では時代と共に当たり前の疑問として出てきました。今までの TV Set は、ほとんどがブラウン管方式でしたが、その後液晶やプラズマなどの方式のディスプレイが出てきました。方式が違うので当然といえば当然なのですが、 ブラウン管の TV Set と、液晶やプラズマの TV Set は色が違います。 VICTOR には「原色探究」という言葉がありますが、「本物の色を表現したい」と思っている私たちとしては、やはりどの方式の TV Set でも同じ色を 再現したかったというのが最初ですね。その、それぞれで違っている点をひとつずつ潰し、その上で本来の色を表現していこうと考えました。
ジェネッサですと、やはりアナログの TV Set の頃から続いている画質への強いこだわりでしょう。 やはり、本来の色はこうあるべきだ、というこだわりはずっと持ち続けていますから。
その原画質表現については、これまで培ってきた技術のノウハウが役に立ちました。 アナログでもデジタルでも基本的な考え方は変わりませんので、アナログ技術で培った財産を、デジタルの手法に展開したのが、 VICTOR ・JVCの技術の強みです。
アナログの TV Set の頃から脈々と続く画質に対する姿勢が、考え方やノウハウという形で今回のジェネッサの開発につながっています。 ですから、このジェネッサは長年かけてつくってきたこだわりの高画質技術とも言えると思います。
リアルタイムでの画像処理ですね。毎秒60回の画像処理を行っていますが、 同じ物体でも背景によって制御が異なったりして、その処理の多様性に難しさがありました。それをリアルタイムに処理しなければなりませんでした。
その点を含め、ジェネッサという専用CPUを採用することで解決を図りました。
VICTOR ・JVCは、高画質・高音質へのこだわりをもって、技術開発を進めています。 このジェネッサのように時代の先を読み、方式や素材の変化などがあっても対応していける技術をこれからもどんどん開発していきたいと思います。